話題の再燃へ。地方からグローバルへ、尽きることのない話題
熊本の老舗、フンドーダイの「透明醤油」は2019年の発売当初こそ話題を集めましたが、ブームは落ち着き、販売の勢いは停滞。
製品のユニークさは認知されたものの、日常の食卓に浸透するまでには至らず、リピート購入への壁が存在していました。そこで、「社内にPRの力を根づかせたい」という想いのもと、地方発で首都圏へと展開することを見据えた戦略的なコミュニケーション構築がスタートしました。
透明醤油だけを前面に押し出すのではなく、まずは企業全体の価値をどのように語るかを再整理することが不可欠でした。社長が掲げていた「調味料を再発明する」という思想を中心に据え、フンドーダイの“強みを活かした物語”を組み立て直す方向へ舵を切ったのです。

その出発点となったのが、九州で売上1位を誇る「煮物調味料」でした。日常の食卓に寄り添うこの商品を起点に据えることで、継続的な話題づくりと販売の連動を図り、ブランド全体への共感をじわりと広げていくアプローチへと進んでいきました。
煮物文化を継承するというコンセプトのもと、2022年に毎年2月6日を「煮物の日」として制定し、日本記念日協会に登録されました。

これを「しあわせ、煮物時間。」プロジェクトとして立ち上げ、特設ウェブサイトの制作やレシピ動画の公開、メディア向けの情報発信まで一貫して展開しました。その結果、テレビや新聞でも取り上げられ、数年をかけて「2月6日は煮物の日」という認知が広がり、店頭での売場づくりにも結びついていきました。
フンドーダイの社長が抱いていたのは、「醤油はもはや醤油という形にとらわれなくていい。日本の“旨味”を世界に届けたい」 というビジョンでした。

その想いを形にする場所として、2022年12月、外国人観光客が多く訪れる東京・浅草かっぱ橋にアンテナショップショップ「出町久屋」が誕生します。ここはまさに企業哲学を象徴する空間であり、掲げたコンセプトは 「醤油を再発明する場所」 というものでした。
新しい調味料の世界観を提示するこの店舗は、オープン直後からメディアの注目を集めます。ちょうどコロナ禍後のインバウンド回復期とも重なり、来店客の約8割を外国人観光客が占めるなど、国際的な交流が生まれる場として一気に存在感を高めました。
店舗はわずか1年で初期投資を回収する成功を収め、この成果がさらなる話題を呼び、首都圏メディアの関心を一段と引き寄せる結果となりました。
「煮物の日」やコンセプトショップによってPRの基盤が整い、全国・首都圏からの関心が高まったタイミングで、透明醤油の価値をあらためて提示するための再活性化に踏み出しました。

透明醤油の最大の課題だった「使い方が分からない」という声を解消し、再び話題を燃え上がらせるため、強力なビジュアル訴求を伴う「透明すぎるフード&スイーツ」プロジェクトが企画されました。
訪日客の驚きや海外での評判を“逆輸入”する形で国内波及を狙い、ノンバーバルに体験できる「脳がバグる透明すぎるレシピ」を開発した。透明すぎるみたらし団子、透明すぎるプリン、透明すぎるポテトチップス、透明すぎる醤油ラーメンといった、視覚的な面白さが際立つ商品が次々と開発され、店舗で発表会を開催されました。
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この視覚的な面白さと、活用シーンを提示するニュースフックは、広範なメディア露出を獲得しました。主要な経済紙やビジネス誌で広く取り上げられたほか、全国ネットのテレビ番組で特集として取り上げられるなど、大きな注目を集めることができました。この一連の露出による広告換算量は、試算で18億円超に上るものと試算されています。
この戦略的なPR活動の開始から約3年で、目にみえる大きな成果へと結実しました。
一連の取り組みによって、家庭用・業務用ともに着実な売上拡大へとつながり、浅草のアンテナショップ「出町久屋」でもインバウンドを背景に安定した販売実績を築くことができました。さらに輸出も順調に広がり、海外の有名レストランで採用されるなど、「旨味の世界展開」に向けた手応えある一歩となりました。
2024年度PRアワードグランプリシルバー獲得。



